古代鐵歌謡館とは

古代鉄歌謡館とは

古代鉄歌謡館 ~歌い継がれてきた鉄歌謡~

古代の人々が抱いたさまざまな思いは、文字の発生以前も歌に表現されて口ずさまれ、口づてに歌い継がれてきました。
また、文字の使用以後は、一定の語を句末に用いて声調をととのえた詩の形式をもつ歌謡として、せどうか短歌、施頭歌、片歌、長歌などの文学として発達しました。

歌謡には、寮歌、祝歌、労作歌、踊歌、子守歌、童歌などの種類があり、それらは歌われる場の性格、歌の目的、歌い手の性質などの違いによって歌の内容や形にもそれぞれの特長や相違がてきます。

ここでは特に製鉄、加工癖、鉄器の使用など、鉄にかかわる艶謡を対象として古典文学を主として採集し、その代表的なものをひろいあげてみました。

神楽の面展示

※「神楽の面展示」をご覧いただくには、別途入館料が必要になります。

~もの言う仮面とうた歌う仮面~

もの言う仮面とうた歌う仮面日本人は、古くから神楽面や舞楽面や能面などさまざまな仮面や化粧を用いることで神々に変身したり、人間性をさらに強調したりして、神ごとの祭りや芸能を現在まで伝えてきました。日本の仮面は、大きく、神・男・女・鬼・動物などの形に分類できますが、さらにそれらの仮面をよく見ると、日本の仮面の表情のなかには、祭りの庭や舞台で仮面をもちいる場合の、さまざまな約束ごとが様式としてかくされています。白い仮面、黒い仮面、赤い仮面、青色系の仮面など。あるいは、目や歯に金属板や貝や骨などが使われているかなど、仮面の役柄の性格や個性をつよく表わしています。

ここでは、「古代鉄歌謡館」のテーマにもとづいて、「もの言う仮面とうた歌う仮面」を、大東町に保存されている神楽面のなかから、「口の開いている仮面と口を閉じている仮面」の形との関係で別けてみました。

また、青色系の仮面は、赤系の仮面の太陽や火に対し、月や水を象徴する場合が多く、水神信仰におろち深く関わっているといわれる大蛇を中心に、郷土に伝わる青色系の仮面の系譜をたどってみました。

竜蛇神話の民俗誌

竜蛇(おろち)神話の民族誌 ~大蛇(おろち)神話の民族誌~

出雲神話・スサノオノミコトの八岐の大蛇退治の本質的な構成部となっている、神や勇士が大蛇を退治して人身御供( ひとみごくう)となっている女性を救って結婚すると言う、いわゆるペルセウスとアンドロメダ型の神話は、中国・揚子江以南から東南アジアにかけての地域をはじめ、西はヨーロッパに至るまで広く分布しています。

また、神話や伝説に大蛇や竜を登場させたり、その体内から鉄剣をとりだすと言うストーリーの主要部分は、水神信仰や製鉄文化と深いかかわりがあると言われています。

祭りにみる水信仰と水の民族学

農耕や山林を基調とする生産において、降雨による天然の豊かな水の供給は、その年の作物の成育や豊穣をきめる大きな条件でした。また、出雲地方を流れる斐伊川やその支流である赤川など流域に住む人びとにとっては、雨期から台風の季節にかけて発生する河はんらん川の氾濫は、住民の生命を襲う恐ろしい存在だったのです。

水は、地球に生まれたあらゆる生命の根源であり、また、人間と自然のいとなみを支えているもっとも基本的な物質です。
日本人は古代から水に対して年中行事のなかでさまざまなかたちで畏敬(いけい)の念を表わしています。生命の再生を願う正月の「若水迎え」、みなくち田植えに見られる「水口祭り」や「田の神祭り」、八大竜王など水神に対する「雨乞い」や「水止め祭り」、わら藁でつくった大蛇を神木に巻き付ける「荒神祭り」など、季節のくらしに見られる水への祈りの民俗は多彩です。

鉄の道文化圏

雲南市大東町が、安来市・奥出雲町の2 市1 町とともに推進する「鉄の道文化圏」形成は、旧自治省のリーディングプロジェクト事業の指定をうけ、主要テーマとして『地域間交流』を掲げ、2 市1町相互の交流と、訪れる人々など圏域外の交流の双方を目的としています。
かつて、この「鉄の道文化圏」を含む中国山地一帯は「たたら」と呼ばれる伝統的な製鉄法が盛んにおこなわれ、現在でも鉄に関わる文化遺産が各所に残り、地域全体が独特な風土を形成しているところです。

また、合わせて出雲神話のふるさとであり、八岐の大蛇をはじめ神話の多くは、古代の製鉄とも関わりが深いといわれています。
この圏域を形成するそれぞれの地域が、特性を生かしたテーマをもって神話や鉄の歴史文化館を建設し、その保存と公開にあたります。
そして、今後地域の文化を創造する核としての「鉄の道文化圏」の活動が期待されています。

建物のあらまし

建物の外観は「大蛇」をデザインしたもので、

  • 劇場回廊の屋根組「山」
  • 玄関入口の上部にある藍色ガラス「大蛇の頭」
  • 朱色と深緑に色分けした回廊の三角組「大蛇の胴」
  • 三角組の円柱 「大蛇の足」
  • 回廊の床に敷いた小石と、にぷい光を放つ鉛入りタイル「川」
を表現しています。